都会のトム&ソーヤEX GENM - 2/2

OPENING 九郎ヶ岳遺跡 PM2:00

もうそろそろのはずなんだけどな。
1999のサバイバルスキルを持つ男・内藤内人ことぼくは、みんなを笑顔にするために冒険している。
今日は九郎ヶ岳遺跡でたいへんなことが起こったのだと聞いて、山に入っていた。なんでも、この遺跡を発見した探索隊がみんないなくなってしまったのだという。
山がいきなりおわって、採石場のような場所に出た。ここが遺跡なのだろう。
採石場には、捜査員がたくさんいる。
その向こうには、洞窟があるみたいだ。洞窟の周りには、なにやら古代文字のようなものが書いてある。
それを見た瞬間、脳裏に戦っているなにかのシルエットがよぎった。中心にはベルトをした戦士がいる。
なんだろうか?
直感にしたがって、この洞窟に入るべきなのだろうか?それとも、もうすこしあたりを探索してみるべきか?
洞窟に入ろう!
そう、今のぼくは冒険者だ。
洞窟に入ろうとすると、ききなれた声がぼくを呼び止めた。
「そのままだと平成ライダー史上最大の死者数がでる番組がはじまってしまうよ。究極の闇がめざめてザギバスゲゲルになんてなったらたいへんだ。『子供向けの作品では死人を出さない』という作者のポリシーに反してしまうからさけたほうがいいだろうね」
トレンチコートにサングラスをかけた創也がでてきた。片手に大きな本を抱えている。この竜王創也というのは射撃の名手でたよりになるぼくの相棒なんだ。おまけに二枚目だ。
あれ?
創也のプロフィールに問題がある気がするが、それよりもサングラスのほうが気になる。
サングラスって、メガネをかけたままでもできるんだなと思っていたら、
「度付きサングラスというものがあるんだ」
とあっけなくあしらわれてしまった。
「きみはすさまじき戦士になるよりも、鬼になるのがおすすめだ。名字と名前の頭文字が同じだし、なにより、きみの山歩きスキルは一話で屋久島ロケをする番組にはぴったりだよ」
ぼくはまだ屋久島には行ったことがない。でもおばあちゃんならこういうだろう。
「おれが望みさえすれば、運命は絶えずおれに味方する」
あれ、ぼくのおばあちゃんはこんな感じだっけ?そもそもおれとかいわないだろうし。
「もちろん、ぼくときみはベストマッチだから、ビルドの世界に行くのもいいだろうね」
「ビルドの世界?」
「スクラップ・アンド・ビルドのビルドだ。覚えていたまえ」
ちょっとえらそうだが、それはいつもどおりかもしれない。
創也は持っていた本をひらいて、朗々とよみあげる。
「この本によると、ふつうの中学生内藤内人は、持ち前のサバイバルスキルをいかして世界の王に――はならないだろうね。そもそもふつうの中学生っていうのがまちがってる」
あれ、その本白紙じゃないか?と思ったところで、創也は本をとじる。
こちらは竜王創也。竜王グループの御曹司にして、頭脳明晰(役にたたないことばかり覚えているともいう)あと二枚目だし(それはさっきのプロフィールと同じだ)究極のゲーム――R・RPGををつくるためにならなんだってする猪突猛進の大ばかやろうだ。
よし、調子がもどってきた。
気を取りなおして、ぼくは創也にたずねる。
「それで、今日はどんな用でここにいるんだ?」
「ぼくらに招待状がとどいたんだ」
創也は本にはさまっていた封筒を取りだす。
そこには『仮面ライダークロニクルへの招待』と書かれている。
「『南北磁石』あてだよ」
『南北磁石』というのは、ぼくと創也がR・RPG――現実世界をつかってプレイするゲームを発表するときの名前だ。
この名前を知っているということは、手紙を書いた人はゲームにくわしいのだろう。
「差出人は幻夢コーポレーションの檀黎斗とある。きみも知っているかもしれないが、幻夢コーポレーションはマイティアクションX、タドルファンタジーなど多くのヒットゲームを出しているメーカーだ」
「マイティアクションはやったことあるかもしれない」
たしか横スクロールアクションで、キャラクターがかわいかったな。
「この招待状によれば、仮面ライダークロニクルではプレイヤーは『ライダー』に『変身』し、失われたたいせつな人を取り戻すためにたくさんの強敵とたたかっていくらしい」
「それだけだと、ふつうのゲームみたいだ」
これまでプレイしてきた、あるいはつくってきたR・RPGには、もっと突飛なところがあったというか、単純ではないしかけがあった。
これだけだと、
そう思っていたら、創也はぼくに手紙の文面をさししめした。

『なお、このゲームではVRなどではなく、ほんとうにプレイヤーが変身します。どうか気をつけておこしください。ライフはかぎられています』

「ほんとうに変身するって……」
「それに、ライフはかぎられているというのも、ひっかかるところだね」
テレビゲームでは、ライフがなくなるとゲームオーバーだ。
現実世界でライフがなくなってゲームオーバーになると……どうなるんだろうか?
「幻夢コーポレーションがこれまで作ってきたゲームはRPG……R・RPGを出すのはこれがはじめてだ。お手並み拝見といこうじゃないか」
ぼくらのゲーム『夢幻』のテストプレイがおわってからこちら、次のゲームはどうなるのかとかんがえていた。
この方向性でいいんだろうかと。
それから幻夢という会社名もきになるところだ。
ゆめまぼろし、まぼろしのゆめ。
『夢幻』をさかさまにしたものであることには、なにか意味があるんじゃないか?
つぎのゲームを生み出すためには、インプットも必要!
遺跡発掘ではないけれど、あたらしい冒険がはじまりそうだ。
それに、どんな冒険でも、ぼくらならきっとおもしろいものになるだろう。

そのときぼくらはまだ知らなかった。
仮面ライダークロニクルがほんとうに『ライフを失うかもしれない』ゲームであること。
そして、この送り主の檀黎斗が――ええと、なんだろう。とにかく今までにない人であったことを……

「よし、仮面ライダークロニクルにいってみよう!」
ぼくは笑顔でサムズアップする。
それじゃあいつものようにはじめよう。

Are you rea……
あれ?
いつもはこうやってはじまるはずなのに、と思っていたら、地面から紫色の土管がはえてきた。
それと同時に流れ出す音楽。
土管からとびだしてきたジャケットすがたの男が、ぼくを指さして笑いはじめた。
一体だれなんだろう。
ピロロロ…アイガラビリィー
「内藤内人ォ!なぜきみが適合手術を受けずにエグゼイドに変身できたのか。なぜガシャットを生み出せたのか。なぜ変身後に頭がいたむのか」
やめろー!とさけびながら創也がこちらに走ってくるけれども、悲しいかな、創也の足はそれほど早くない。
「その答えはただひとつ……」
その男は得意げに語り続けようとする。
そんなこといわれても、ぼく、エグゼイドには変身できないんだけどな……
困惑しているところに電子音が『ゲームのはじまり』をつげる。

GAME START!

2020-03-21

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