対峙するのは白と赤。同じ背丈、同じ身体、同じ顔。
「あんたは誰だ?」
「おれのくせに察しが悪いな」
「赤と紺の制服を着ている。おれとは異なるものだ。ダンボールを抱えている。配達の仕事をしているのだろう。顔も背丈も同じだ」
「なら答えは明白だろう」
「おれは嘘をつかない」
「それは真実だ」
「おれはこの世に二人といない」
「それも真実だ」
「だからあんたがおれであるはずがない」
区別のつかない白と赤、互いにとって互いが真で、互いにとって互いが偽。
ということはないはずなので、どちらかの存在が否定されることになる。
「ならば、おれはあんたを消さなくてはならない」
「ここで出会ったという、縁があったとしても、おれは消されるわけにはいかない」
「おれもそうしたくはない」
なぜならあんたは幸福だからだ、と、口にしたのは赤。
おれはおそらく幸福を知っていると、口にしたのは白。
前者は立ち去り、後者は残る。
対峙したのは白と赤。同じ背丈、同じ身体、同じ顔、異なる記憶。
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