さて、ドクター・ストレンジの観測した可能性のうちのひとつに、こんなものがあるんだとか。ピーター・パーカー、そんな名前のやつはごまんといるが、今まで語ってきた『その』ピーターだ、そいつの机の上に置きっぱなしの未完成の他次元通信装置に、普通だったら入らない通知が来る。
他の次元に干渉する際、失敗するのは『こちら側から』だけ行こうとするからだ。両側からなら未完成でもうまいことキャッチすることができる。かもしれない。可能性が高くなるだけだけれども。ちょっと遠くにいる誰かと手を繋ごうとするなら、互いに手を伸ばせば手を繋げる可能性が上がる――つまり、そういうことだ。
つまりって何だよと思う向きには技術書でも読んでいただきたい。
赤いライトが点滅する。それから親しげな友人のように、声が語りだす。
「もしもし? こちらはマイルズ・モラレス、この世界にたったひとりのスパイダーマンで……あ、それより前に、君の名前は――」
で、僕は誰かって? それは秘密、いつかどこかの世界で君に出会うとしよう。
2020-03-16
※コメントは最大500文字、5回まで送信できます