5
夢を見ていた。
あのとき。
力を持った子供が泣いているのを見つけたのが違う人間だったなら。どうなっていたのか。
エリック・レーンシャーがスコット・サマーズを見つけていたら。彼はブラザーフッドに入っただろう。迷うことなく。きっと同じように、サイクロプスという新しい名前を与えられて、ミュータントの未来のために戦っただろう。
それだけなら『どちら側に』いたって変わりはしない。ただ、立場と、手段と、社会からの扱いが異なるだけだ。どちらにいたって恐れられはする。どちらにいたって戦いはする。どちらにいたって、きっと、同じ信念を持つようになる。
きっとよく働いてくれるであろう。最初からブサザーフッドとして育てられるのであれば、彼がX-menであったときと同じように。フィールドリーダーが適任かもしれない。最終的にはチームを率いるリーダーになるのかもしれない。
成長してからは、やはり教育を担うようになるのかもしれない。
ただ『世界の敵』であることだけが違う。
世界はエリックたちを認めないだろう、チャールズたちとは違ったやり方で認めないだろう。その中で磨かれて、多少はこちらのほうがタフになるのかもしれない。
世界の敵として、相手に正義を押し付けて、自由に生きるのが、彼にとってのしあわせかは、わからない。
出会う人間だって大きく異なってくることだろう。
それでもやはりジーンと恋に落ちて別れるのかもしれない。それでもやはりウルヴァリンと敵対しつつ認め合えるのかもしれない。
空想にすぎない。これは。あり得なかった夢にすぎない。チャールズの手をエリックが取ることができた、というのと同じくらいに、存在し得ない未来にすぎない。
それでもなお、考えずにはいられなかった。手元に『子供の頃の』スコット・サマーズがいるのだから。
彼は何も覚えていなかったけれども、同時にすべてを覚えているようだった。軽く格闘をさらっただけで、目覚ましい成果を見せた。かつてできたのだから、当然なのかもしれないけれど。
そうすれば、もう少しすれば、エリックとスコットが並び立つ未来も、あるのかもしれない。
この未来を辿ったら、いつかエリックを見限るのかもしれない。
彼はどうあったってミュータントを救うために戦うのだろう。またいくらか道を踏み外したとしても、戦うのだろう。
そうしたらきっとエリックは彼を止めたいと願うだろう。この世界でさえもそうだったのだから。チャールズが願ったように願うかは、わからないけれども。
そうしたら、エリックはチャールズと同じ結末を迎えるのであろうか。
それは夢だった。夢でしかなかった。
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