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遠くはない未来のはなし、ここではない場所。
エリックはまたこの地域にまで、“Cyclops was right”が流行していることを知る。さいわいにもスコットはまだ知らなかった。彼のかつての名前を。エリックはそう思っていた。知ってはならないのであると。自然に思い出すまでは。そうでなければ復讐にならない。そういうことになっている。
言い出すのは突然で、それにスコットはもう慣れていた。
「わかった、この街を出よう」
「いつ」
「明日」
「どこへ?」
エリックは答えを持たなかった。ただスコットの頭を撫でた。
スコットは学園にいつかたどり着けるだなんてもう信じてはいなかった。だけれども、少なくとも、ここは安全だった。最近では戦い方も教えてくれるようになったし、それらは妙にしっくりきた。
ふたりはまったく違う思惑で一緒にいることになったけれども、ひとつだけ共通点を持つことになった。ふたりとも見つめたくはないけれども、たしかにひとつはそこにあった。
行ける場所なんていくらでもあって、行くべき場所はどこにもなかった。
2018-06-12
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